現代人の死因の2割は「不健康な食事」が原因だと言われている。私たちは食べ過ぎているのに、栄養不足という矛盾した状態に陥っている。そんな現代人に向けて、本書「Switch」は細胞レベルでの健康法を科学的に解説している一冊だ。
オートファジーという細胞の自浄作用
本書の核心となるのが「オートファジー」という仕組みである。オートファジーとは、細胞内で損傷・老化した細胞小器官や有害な物質を取り除き、再利用する身体のリサイクルシステムのことだ。このオートファジーは免疫系を強化し、がんや心臓病、慢性炎症、うつ病や認知症などの発症リスクを大幅に低下させる効果があると描かれている。
著者は「オートファジーこそが、あらゆる感染症や病気を回避するための鍵を握る存在」だと主張している。
オートファジーのスイッチを入れる方法
では、このオートファジーをどう活性化させるのか。本書では主に3つの方法が紹介されている。
1. 間欠的断食
食事をするとインスリン値が上がり、グルカゴン値が下がる。逆に食事を取らないとインスリン値が下がり、グルカゴン値が上がる。グルカゴン値が上がるとオートファジーが始まるのだ。つまり、一時的に身体に栄養を与えないようにすることは、細胞の健全性を高める最高の方法と言える。
2. 運動、特にHIIT
運動もオートファジーを促す効果がある。特に高強度インターバルトレーニング(HIIT)が効果的だと述べられている。運動はカロリー制限によって生じうるマイナス効果を消すのにも役立つ。
3. 適切な食事内容
本書では地中海式の食事と間欠的断食の組み合わせが、バランスを保つのに理想的な食事法だと紹介されている。低GIの野菜をたくさん食べ、動物性タンパク質は摂りすぎず適量に抑えることが推奨されている。
興味深いのは、「果物と野菜を処方すれば、米国だけでも年間1000億ドルの医療費を節約できる」という研究結果だ。それほど食事が健康に与える影響は大きい。
実践してみた感想
私自身、本書で紹介されている16時間断食を実践している。朝食を抜き、昼と夜に食事をするスタイルだ。
率直に言って、このスタイルは自分にすごく合っている。午前中のパフォーマンスや集中力が明らかに向上したと感じる。胃の中にモノがないため、消化にエネルギーを使う必要がなく、やるべきことに全集中できるのだ。
頭を使う作業や思考が必要な仕事をする人には、ぜひ一度試してもらいたい。2食にするぶん、食事の質にこだわる必要が出てくるため、結果的により引き締まった体型にもつながると思う。
朝食を抜くことは全く苦ではない。むしろ体が軽くすっきりした状態で勉強や仕事に取り組める。最初は不安かもしれないが、一度試してみる価値は十分にあるはずだ。
